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のろのろ連載でごめんなさいー!
2回目にして、連載で物書きしてる方々を深く深く尊敬したしずまるです。
書いてるうちにじわじわとあれ?って思う所が生じて、過去の分にひっそりと加筆修正をするっていう事があるだろうなーと思ったら早速ありました(笑)
主に、私にしか分からないだろうなっていう微妙なものですが。
いつか書き溜まってギャラリーとかに移る時には、またがっつり手加えちゃったりするんだろうな…
うぬぬ。
精進します。
この間コンビニで「黒猫エース」っていうタイトルのまんがを見つけて、
ななななんだってーーーーー!!!(萌)
ってなりました。
猫耳&しっぽのエースがマルコににゃんにゃんされる話だったりしないだろうか(しません)
わかってますが、それでも萌える…
エースっていう名前の黒猫が主人公みたいなんですけど…
今日行ったらなかった…あした書店にいってみよう…
[しずまる]
マンションのエントランスの不自然な明るさを抜け、上層階に留まったエレベーターを呼ぶボタンを押して、それを待つ間に集合ポストを覘く。
何通かの封筒を抜いて残ったのは、マンションの分譲を勧める広告。便利だ綺麗だ広々だと、媚びるように踊る謳い文句はどれ一つ彼の心に届かない。無感動にそれを眺めたのは取り出した一瞬のみで、写真の建物が駅の向こう側に建ったばかりの高層マンションだと思い当たった時には、その派手な紙は静かにダストボックスへと舞い降りる所だった。
と、ポンと軽やかなチャイムがエレベーターの到着を知らせる。空になったポストを閉じ、封筒を持った手で鞄を拾って足を向けると、計ったように扉が開く。
狭い箱に閉じ篭もり、瞬間、かかる重力ごと外界から切り離される時、自分だけのものではないこの場所で少しばかり早まって気が緩むのを自覚した。それを体現するようにネクタイを緩ませようと無意識に手が持ち上がりかけて、またビニール袋が鳴ったからだ。
し損なってしまえば首に馴染んだそれが今更どこか窮屈に感じるもので、更に、半端に持ち上げた袋の中身が軽く縦向いてしまっていて、マルコはふんと短く息を逃がした。
住み慣れた部屋は、401号室。
フロアへ降り、エレベーターから一番遠い角部屋へと歩きながらふと、延々続く同じデザインの板の奥から2つ目、つまり隣の402号室の扉から何かが飛び出しているのに気が付いた。
通り過ぎて一番奥の扉の前に立ち止まり、鍵を取り出す間にもう一度そちらを見ると、折り畳まれた紙が扉の郵便受けに挟まっていた。一番上にあるのは、恐らく先程下で捨てたのと同じ広告。
下の集合ポストが一杯で入り切れなくなって此方に捻じ込まれたのだろうか、そんな部屋にこんなものを勧めても意味が無いだろうにと呆れながら、ついでに隣に住んでいた人物を思い出してみるが、はっきりと顔が浮かばない。
マルコが此処に住み始めてから何度か隣人は変わっている。前は確か若い女性で、越してきたと挨拶に訪れたのが1、2年前だったか。偶然に顔を合わせた事もあって、会釈程度は交わした筈だと、そこまで手繰るのが精一杯だった。
(越して行ってたのか)
取り出した鍵で扉を開け、一旦荷物を下ろして鍵を吊るし、時計を外して隣に置く。
考えてみれば、最近全く隣から物音も人の気配も感じなかった。
関わりを拒む訳では無くとも、敢えて関わろうともしない限り、壁一枚、扉一枚の隔たりは存外大きいものだ。
夜は遅く、朝はそこそこに早く、それこそ寝る為だけのようなもので、休みの日は一人の時間を大切にしているマルコにとって、隣人、とは限りなく、他人、と等しいカテゴリーだった。
隣に住んでいた女性に、何の迷惑をかけられた訳でもないし、特に悪い印象もない。
けれど、道理で過ごし易かった訳だと軽く口元で笑んで、やっとネクタイを緩めた。