忍者ブログ
更新停止しました。 ありがとうございました!
[PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

おちていく
ただ、ただ蒼一色。
ぼこぼこ、ぶくぶく、
深く深く、自分を飲み込む音。
それは、
ばくばく、ばくばく、
必死に、生を叫ぶ音と溶ける。



真っ青だった。
けれど今は真っ黒で、そこにぼやりと光が混ざる。

「気が付いたか」

覚えのある声がして、
瞬くと、覚えのある天井。

「あれ?おれ…」
「彼処で寝るなっつってんだろい」
「あ…また落ちた?」

へら、と笑って投げた問いに、答えはない。
けれど、こんな笑顔では誤摩化されてくれなそうな、ぴりと眉間の寄った表情から察するに、正解。
しまったなぁとぼんやり考えて、そのままぼんやり記憶を手繰る。
と、
「あて」
びしりと額を弾かれて、中断。
「…ったく。暫く寝てろ」

思わず額を庇い、そのまま見上げると、
呆れた表情に確かな安堵を溶かして、マルコがほんの少し笑った。
その、瞳の色で思い出す。

「なぁ」

ぽつりと、呟いた声に、逸らされかけた蒼が戻って来て、
おれを捉えて続きを促す。

「おれたち、本当に海に嫌われてんのかな?」

きっと他の奴だったら、どっかおかしくなったか、とか言うんだろう。
だって今更だし。現に、さっき死ぬとこだったんだから。
でもマルコは違う。
きゅ、とまた眉が寄って、
けど、瞳はじっとそのままで、おれの中に言葉の意味を探してるみたいだ。
それを確かめたら、なんだかもう、満足で。

「や、なんでもねェや。おやすみ」

また笑って、もぞりと布団の中で姿勢を変えると、
マルコは片方の眉だけを、すいと綺麗に上げて、それから無造作におれの頭を撫でる。

「変な奴だよい。おやすみ、エース」

それを聴いて、そうしたら自然に頬が間抜けに緩んで、
それからおれは目を閉じた。


睡魔はすぐにやって来て、また、落ちていく。


瞳の中一面、あの蒼に包まれて、
指先ひとつ、唇すこしも動かせないほど、
力は抜けて、奪われて、
息は苦しい、鼓動は五月蝿い。

嫌われてる、なんて、

あんなに、


愛されてる、みたいなのに。





<end>



突発SSS第二弾。(基本的に何時でも何でも突発ですが)
第一弾『きれいないろ』totemo12.ni-moe.com/Entry/81/に続き、またも色ネタな上、空の次は海、という脅威の安易さでごめんなさい…。
更に、またもやテキストカテゴリにするの悩む短さでごめんなさい…。



[しずまる]

拍手

PR
| prev | top | next |
| 194 | 193 | 192 | 191 | 190 | 189 | 188 | 187 | 186 | 185 | 180 |
カレンダー
10 2024/11 12
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
プロフィール
HN:
とど”まるこ”とをしらない人達
年齢:
13
HP:
性別:
女性
誕生日:
2010/11/22
職業:
モビーディック観察
趣味:
妄想
自己紹介:
マルコがエロ過ぎて心がやす”まるこ”とがない やすまると
マルコが男前過ぎて萌がしず”まるこ”とがない しずまるです。
バーコード
ブログ内検索
アクセス解析
忍者ブログ  [PR]
  /  Design by Lenny