[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
今度は、高校教師×生徒。
妄想では3年生な訳ですが、時期もので学年ってどうしようかなーと思ったり。
まあ、特に内容にはきっと絡んでこないのでいいんですがね!
これも細かいことは追々!
片想いの時期を書きたくてうはうはしますが、
このお話ではもう、お付き合いしております。
こちらも短く、そして続きます…
週末の、午後の教室。
担任の、気だるげで心地よい声。
解放に向けてさざめく気配。
教壇と向かい合う他の生徒たちは、あの個性的な形の金髪を飛び越えて黒板の上の時計を見つめる。
こつこつと響く秒針の音、周りの鼓動、呼吸が混ざり合うような空気を感じて、間もなく響き渡ったチャイムに促され、淡々とした声が今日を締めくくる。
「じゃ、お疲れさん。浮かれ過ぎんなよい」
とたんに、いつも以上に浮かれたざわめきに包まれる。
ただの週末ではない、なんたって明日はクリスマスなのだ。
教室を出ていく担任の姿を最後まで見送って、おれも周りに紛れる。
級友たちとの会話は弾み、騒ぎの中に居るのも今日は殊更に愉しい。
頭の中は明日の事でいっぱいだ。
クリスマス
~現パロ 高校教師×3年生の場合~ 1
そういう仲になって、初めての冬。
街中を彩り始めるイルミネーションを、あんなにも浮かれた気持ちで眺めるのは初めてで、大量の電球の集まりの、これまで気付かなかった美しさに驚かされた。
何をすると決めた訳じゃない。
何処に行くかとか、何を食べようかとか、考えはしたけれど、具体的に何処と云う案に至る前に、ともかく2人で過ごせる、と浮かれた思考はその場で足踏みをした。スキップのように、それはそれは軽い足取りで。
ついに明日と迫った夜に漸く気付いた。
それで明日はどうするのだ、と、聞いておかなければ何時に起きればいいかも分からず、つまり寝始める訳にいかない。
そこで電話を掛けてみて、電話にしてよかった、と、何より最初に思った。
「はァ?おれが休める訳ねェだろう」
予想だにしない展開だ。
一緒に居られるものだと勝手に思い込んでいた。
一緒に居たいと、相手もそうなのだと、思い込んでしまっていた。
「ぇ…」
「お前、“師走”って、どう書くか知ってるかい?」
悪気はないんだろう事が窺える冗談めかした問いに、答えられる余裕なんてある筈がない。
偶然二人で見つけた電飾の木を綺麗だと騒ぐおれに、そうだなと合わせる声は随分落ち着いていたかも、とか。
クリスマスにはケーキが必要だなと主張したおれに、甘いものは苦手な筈なのに、良いじゃねぇかと優しく返してくれたのは、自分が一緒に食う事など想定されていなかったかも、とか。
考えてみればそこらじゅうに落ちていたヒントを、浮かれきったおれは見事に飛び越えてしまったらしい。
独りよがりな思い込みが恥ずかしい。
そして…とても、哀しい。
「そっか、おやすみ」
「エース?…、ェ……、…」
大袈裟かも知れないが、絶望ってやつをに打ちのめされて、思考は停止した。
ゆるりと耳から離した携帯電話の終話ボタンを長押しして、ひとり、ベッドに沈んだ。
[しずまる]