これが終わったら上陸するぞ、
もう宿はとってあるんだ、マルコに乗りゃあひとっ飛びだよな、
だからさ、いくら主役だからって、あんま飲み過ぎんなよ！
なんだよおれだって飲まれやしねェ、当たり前だろ？
今日の計画は完璧だからな！覚悟しやがれ！

耳打ちの姿勢には相応しくない勢いで大体そんなような事を捲し立て、
満足げな笑みを残して、
笑い声や熱量が目視出来そうな騒ぎの真ん中へと、エースは飛び込んで行った。

マルコはまた、いい歳をして自分の誕生日なんて、別にめでたいものでもない、という顔をつくった。
けれど、家族の誕生日を出しに騒ぎたいだけの大勢の馬鹿な奴等を愛していて、奴等が楽しそうにしていると喜ばしい。
そしてそんな家族が、こんなに酒が美味いのは、お前が生まれた日だからだ、などと言うのだから、やはり誕生日というのは幸せなものだと思う。

「ありゃあ、潰れるな」

呆れたように零して、視線の先、
さっきまで此処で微笑んでいた幼げな雀斑が今は夜空に向かって大笑いをして、
誰より「主役」とやらを差し置いて嬉しそうに、何故だか胴上げなどされている。

「何やってんだ、とっとと来やがれ、ほら」

既に赤ら顔のサッチにがっちりと肩を組まれ、どうやらもう、高見の見物とはいかないようだ。
観念した、そんなポーズでマルコがジョッキを煽れば、また一段と甲板は騒がしくなる。
白鯨の咆哮はおそらく、空が白むまで止むことはない。