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2025.03.13 Thursday
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雪
2011.12.03 Saturday
始まりの可笑しな日だった。
バシバシと無遠慮に文字通り叩き起こされて気分は最低で、普段おれにそうされなきゃ決して目覚めない弟が、耳元に繰り返し喚いていて五月蝿かった。
毎朝、自力で起きられるようになってくれればと祈っていた筈なのに、叶ってみればこれはこれで煩わしくて堪らない、なんて勝手なものだと思えたのは30分ほど経ってのこと。
なかなか聞き取ってやる気になれず、身を縮めて潜ったけれど、毛布を剥ぎ取られて余計に気持ちが逆立って、怒鳴ろうとした声は渇いた喉に絡んで低くなった。
最低の気分を最適に表した呻きにも怯まず、やけにキラキラと輝いた顔でルフィが指していた窓の外。
瞬時に心の棘が抜け落ちて、こんな珍しい事が起きたのにも、なんだか腑に落ちる。雪だ。
部屋着で飛び出そうとする腕を引き止め、ウズウズ、そわそわ、ちっともじっとしていない身体に無理矢理コートを着せて、踏み出した世界は真っ白だった。
コイツは、踏み出す度にギュッと鳴くのを面白がって、おれは真っ新な地面に残る跡を楽しんで。
暫くして振り返るともう随分な踏み荒らしようだ。
なんだか優越感をもって、ふふんと吐いたとき。
「あ…」
白い息の向こうに、ぼんやりと人影が見えてきた。
少しづつ近付くそれは、おれたちの汚した此処を通るらしい。
「残念、少し遅かったなァ」
思わず小さく呟いた。
此処はもう、自分の陣地かのような気分で、だからなんだかそいつの顔が気になる。
ざまあみろと待ち構えていると、そいつはどんどん近付いてきた。
…すっげェ仏頂面だ。半分くらいしか見えないけどじゅーぶん分かる。
今日はまだ背中の方で1人で騒ぎ続けてるルフィしか見てないし、おれも楽しんでたから驚いた。
けどまぁ、こんな寒さじゃ仕方ないかも知れな……え?
待て待て待ておっさん。
それ帽子じゃねェの?
口元が埋まるほどマフラーを巻いていても、その頭じゃ寒いと思う。
「…そりゃそんな顔にもなるか…」
汚しといてなんだけど、それでもそれなりに、綺麗な景色は残ってる筈だ。
面白くない。あんな面白ェ髪型の癖に。
「キレーなのに」
「エース!雪合戦だ!!」
最後の呟きは、脳天気な叫びに潰された。
ルフィが、返事を待つはずがない事なんて分かってる。
ひょいと身を屈めると、誘いと同時に投げたらしい雪玉が頭の上を越して行く。
このおれの不意をつこうとした浅はかな弟の為、顔面にお見舞いする雪玉を集めて立ち上がる。
あのおっさん、笑うこととかあんのかな。
滅茶苦茶に飛んでくる雪玉の全てを躱しながら、
どうしてかちらりと、そんなことを考えた。
どこがマルエーなのか…
いや、マルエーなんです、こんな、すれ違うような出逢いで、
でも時間をかけて始まる二人が好きなんです…!!
ということで迷いつつテキストにカテゴライズ。
はー…。
今年初の雪を見て、エースは雪にめっちゃはしゃいで外行こうぜ!
ってなって、マルコは寒いやだ寒い。ってなったら可愛いな。
と思った筈が何故こんな事に。
雪いいですよねー。
[しずまる]
バシバシと無遠慮に文字通り叩き起こされて気分は最低で、普段おれにそうされなきゃ決して目覚めない弟が、耳元に繰り返し喚いていて五月蝿かった。
毎朝、自力で起きられるようになってくれればと祈っていた筈なのに、叶ってみればこれはこれで煩わしくて堪らない、なんて勝手なものだと思えたのは30分ほど経ってのこと。
なかなか聞き取ってやる気になれず、身を縮めて潜ったけれど、毛布を剥ぎ取られて余計に気持ちが逆立って、怒鳴ろうとした声は渇いた喉に絡んで低くなった。
最低の気分を最適に表した呻きにも怯まず、やけにキラキラと輝いた顔でルフィが指していた窓の外。
瞬時に心の棘が抜け落ちて、こんな珍しい事が起きたのにも、なんだか腑に落ちる。雪だ。
部屋着で飛び出そうとする腕を引き止め、ウズウズ、そわそわ、ちっともじっとしていない身体に無理矢理コートを着せて、踏み出した世界は真っ白だった。
コイツは、踏み出す度にギュッと鳴くのを面白がって、おれは真っ新な地面に残る跡を楽しんで。
暫くして振り返るともう随分な踏み荒らしようだ。
なんだか優越感をもって、ふふんと吐いたとき。
「あ…」
白い息の向こうに、ぼんやりと人影が見えてきた。
少しづつ近付くそれは、おれたちの汚した此処を通るらしい。
「残念、少し遅かったなァ」
思わず小さく呟いた。
此処はもう、自分の陣地かのような気分で、だからなんだかそいつの顔が気になる。
ざまあみろと待ち構えていると、そいつはどんどん近付いてきた。
…すっげェ仏頂面だ。半分くらいしか見えないけどじゅーぶん分かる。
今日はまだ背中の方で1人で騒ぎ続けてるルフィしか見てないし、おれも楽しんでたから驚いた。
けどまぁ、こんな寒さじゃ仕方ないかも知れな……え?
待て待て待ておっさん。
それ帽子じゃねェの?
口元が埋まるほどマフラーを巻いていても、その頭じゃ寒いと思う。
「…そりゃそんな顔にもなるか…」
汚しといてなんだけど、それでもそれなりに、綺麗な景色は残ってる筈だ。
面白くない。あんな面白ェ髪型の癖に。
「キレーなのに」
「エース!雪合戦だ!!」
最後の呟きは、脳天気な叫びに潰された。
ルフィが、返事を待つはずがない事なんて分かってる。
ひょいと身を屈めると、誘いと同時に投げたらしい雪玉が頭の上を越して行く。
このおれの不意をつこうとした浅はかな弟の為、顔面にお見舞いする雪玉を集めて立ち上がる。
あのおっさん、笑うこととかあんのかな。
滅茶苦茶に飛んでくる雪玉の全てを躱しながら、
どうしてかちらりと、そんなことを考えた。
どこがマルエーなのか…
いや、マルエーなんです、こんな、すれ違うような出逢いで、
でも時間をかけて始まる二人が好きなんです…!!
ということで迷いつつテキストにカテゴライズ。
はー…。
今年初の雪を見て、エースは雪にめっちゃはしゃいで外行こうぜ!
ってなって、マルコは寒いやだ寒い。ってなったら可愛いな。
と思った筈が何故こんな事に。
雪いいですよねー。
[しずまる]
1周年
2011.12.02 Friday
挨拶
2011.12.01 Thursday
別れ際、両頬にキスをする挨拶に馴染みがなくて、
それをしてくるマルコにやたらドキドキするエース可愛い。
握手の腕を引き寄せられて。
鼻先に、仄かなコロンと高そうな煙草の…これからマルコのものと覚える香りを感じ、
左の頬に温もりと髭の擦れる擽ったさ、耳にキスの音。
既にこの上なくドキドキしているのに、それらが右に移る頃には、僅かな間に痛いほど熱くなってしまった耳朶の紅さに気付かれませんようにと祈りも加わって、プチパニック。
そんな風に真っ赤になって微動だに出来ないエースも可愛いですが、
強がって応えようとして、でも慣れないし緊張してるしで首を傾ける方向を間違って、こう…道を譲ろうとして退く方向が一緒になってディフェンスみたいになるあの感じで、頬じゃなくて唇へのキスになりかけてパーン!ってしたらいい。
マルコは、そんな不器用過ぎるおねだりに笑って、そのままキスしてあげればいい。
後々。
挨拶としての両頬ちゅー、他の人にするのが、挨拶と分かっていても面白くないエースと、
それを察したマルコが、こんなキスはお前にだけだと機嫌を取るというベタもお美味しいですが、
「お前の国に移るかい」
「へ?何だ、急に」
「嫌なんだろい、これが」
「その為に!?いい、いいよ」
「…良いのか」
最後のは、ちょっと寂しげだとなおよし。
こんなブッ飛んだマルコも愛しいです。
[しずまる]
それをしてくるマルコにやたらドキドキするエース可愛い。
握手の腕を引き寄せられて。
鼻先に、仄かなコロンと高そうな煙草の…これからマルコのものと覚える香りを感じ、
左の頬に温もりと髭の擦れる擽ったさ、耳にキスの音。
既にこの上なくドキドキしているのに、それらが右に移る頃には、僅かな間に痛いほど熱くなってしまった耳朶の紅さに気付かれませんようにと祈りも加わって、プチパニック。
そんな風に真っ赤になって微動だに出来ないエースも可愛いですが、
強がって応えようとして、でも慣れないし緊張してるしで首を傾ける方向を間違って、こう…道を譲ろうとして退く方向が一緒になってディフェンスみたいになるあの感じで、頬じゃなくて唇へのキスになりかけてパーン!ってしたらいい。
マルコは、そんな不器用過ぎるおねだりに笑って、そのままキスしてあげればいい。
後々。
挨拶としての両頬ちゅー、他の人にするのが、挨拶と分かっていても面白くないエースと、
それを察したマルコが、こんなキスはお前にだけだと機嫌を取るというベタもお美味しいですが、
「お前の国に移るかい」
「へ?何だ、急に」
「嫌なんだろい、これが」
「その為に!?いい、いいよ」
「…良いのか」
最後のは、ちょっと寂しげだとなおよし。
こんなブッ飛んだマルコも愛しいです。
[しずまる]
飛行機
2011.11.30 Wednesday
取材旅行なう、で御座います。…一応事情と目的あっての遠征なのですがね、気分はもう、完璧にそれです。
留学だったり、所謂自分探しや、夢に飛び込む感じで海外に飛んだエースが、旅程で出逢うマルコ、とか。
そんな二人がそこら中に見えてしまって、いつもに増して幸せです。
ああでもその前に、行きの飛行機の中の話。
出発の数日前、神社に行く機会があっておみくじを引いたら見事に凶で、旅や出逢いについてことごとくズッパシ『わろし』と書かれていた事を思い出す滑り出しでした。
しかし!
マルエー変換という魔法によりこれもまた、素敵な材料に!
ふはは、不運恐るるに足りず!!
座ってみるまで、周りがどんな人かとか分からない機内。
機体の一番後ろ、窓から二つ目の席に座ったマルコ。
彼の場合ファーストクラス、せめてビジネスに乗って欲しいところですが…なんかそこから受難スタートしてたらいいですよね。
航空会社の手違いで便を間違われてたりして、その便では仕事に間に合わず、予約した筈だった便は既に満席。
エコノミーでなんとか手配できた席で妥協して乗ってみると…
彼の席を除いて後方5列ほどが全部、一つの団体の座席です。
しかも、半分ほどの年齢の、海外どころか飛行機自体にも慣れていない、修学旅行感満載の、学生4、50人。
おまけにマルコは通路側ですが、隣の窓側に座った男の子もその集団の一員で…。
マルコは修学旅行生に取り囲まれて居心地が悪く、
窓側の彼もまた、マルコがいる事によってわいわい写真とったり騒いでる仲間達と隔離されるという、誰も得しない状況。
その上、周りの奴らが
『みろよ、あいつ閉じ込められてやんの』ってクスクスしてたり、
「お前、イイ席だな」
「うるせェ!」
ってなやりとりがマルコ越しに飛び交ったり。
一部の女子がチラチラと向けてくる視線もまた煩わしく、
最後列で壁にぶち当たるおかげでまともにリクライニングもしないし、なのに前の席の学生は無遠慮にシート倒してくるし、
このまま12時間なんて悪夢だ。と、眩暈を抑えて深々と溜息を漏らしたとき。
「お前、迷惑!」
ってマルコの前の席の学生の頭をビシッてやる隣の学生。
彼が乗り出して振り下ろした腕はマルコにもとても近かったので、それ自体が迷惑と言えなくもなかったりします。
けど、一応自分のことを気にかけたらしいことは伝わり、他の状況が最悪過ぎたおかげで相対的にその子が良い子に見えるマルコ(笑)
なんだよ、うるさいなっていいながらも前の席のシートが上がるのを確かめると、隣の彼は頬杖をついて、周りの騒ぎから目を伏せるみたいに窓の外を眺めます。
でも、心なしか脚と指先がそわそわしてて、本当は混ざりたいんだろうなって思わせる感じで。
「学生か」
「え…ハイ」
「どっからが仲間だい?」
「…5列前くらいから」
「…運が無ェな」
「はは、そっちも」
懐っこく話し易い感じで返してくる青年に、少し和んで。
「席、代わるか」
「や、いい、いいです」
遠慮した風な返しに、どちらかと言えば変わってくれた方が嬉しいんだが、と思いつつも食い下がるのもな…と諦めるマルコ。
それから暫く、ぽつぽつと言葉を交わし、
海外のレストランに研修に行く調理の専門学生の集団なんだと判明したり、離陸にはしゃぐ様子を眺めたり、ヘッドホンや機内設備の使用方法に戸惑ってるのを笑ったり。
それから、彼がトイレに立とうとしたので、それをキッカケにもう一度席の交換を持ち掛けるマルコ。
彼はもう一度断ろうとするんだけど、一回目はただの遠慮だったのが、次は渋るような、惜しむような感じで。
このままでいたいと強請られているようで気分が良くなって、
「隣なのは変わらないだろい、エース」
って笑います。
名前は、彼の周りに飛び交う仲間たちの声から聞き取っていました。
目を丸くして、俄かに動揺して、でもすぐに嬉しそうに笑って、席を立つエースを見送って。
窓側の席に詰めたマルコは無意識に時計に目をやって、残された10時間という時間を、もう長いとは思わないのでした。
ふあああ。
マルエーならなんて素晴らしいシチュエーションなのでしょう。
マルエーなら!!!
[しずまる]
留学だったり、所謂自分探しや、夢に飛び込む感じで海外に飛んだエースが、旅程で出逢うマルコ、とか。
そんな二人がそこら中に見えてしまって、いつもに増して幸せです。
ああでもその前に、行きの飛行機の中の話。
出発の数日前、神社に行く機会があっておみくじを引いたら見事に凶で、旅や出逢いについてことごとくズッパシ『わろし』と書かれていた事を思い出す滑り出しでした。
しかし!
マルエー変換という魔法によりこれもまた、素敵な材料に!
ふはは、不運恐るるに足りず!!
座ってみるまで、周りがどんな人かとか分からない機内。
機体の一番後ろ、窓から二つ目の席に座ったマルコ。
彼の場合ファーストクラス、せめてビジネスに乗って欲しいところですが…なんかそこから受難スタートしてたらいいですよね。
航空会社の手違いで便を間違われてたりして、その便では仕事に間に合わず、予約した筈だった便は既に満席。
エコノミーでなんとか手配できた席で妥協して乗ってみると…
彼の席を除いて後方5列ほどが全部、一つの団体の座席です。
しかも、半分ほどの年齢の、海外どころか飛行機自体にも慣れていない、修学旅行感満載の、学生4、50人。
おまけにマルコは通路側ですが、隣の窓側に座った男の子もその集団の一員で…。
マルコは修学旅行生に取り囲まれて居心地が悪く、
窓側の彼もまた、マルコがいる事によってわいわい写真とったり騒いでる仲間達と隔離されるという、誰も得しない状況。
その上、周りの奴らが
『みろよ、あいつ閉じ込められてやんの』ってクスクスしてたり、
「お前、イイ席だな」
「うるせェ!」
ってなやりとりがマルコ越しに飛び交ったり。
一部の女子がチラチラと向けてくる視線もまた煩わしく、
最後列で壁にぶち当たるおかげでまともにリクライニングもしないし、なのに前の席の学生は無遠慮にシート倒してくるし、
このまま12時間なんて悪夢だ。と、眩暈を抑えて深々と溜息を漏らしたとき。
「お前、迷惑!」
ってマルコの前の席の学生の頭をビシッてやる隣の学生。
彼が乗り出して振り下ろした腕はマルコにもとても近かったので、それ自体が迷惑と言えなくもなかったりします。
けど、一応自分のことを気にかけたらしいことは伝わり、他の状況が最悪過ぎたおかげで相対的にその子が良い子に見えるマルコ(笑)
なんだよ、うるさいなっていいながらも前の席のシートが上がるのを確かめると、隣の彼は頬杖をついて、周りの騒ぎから目を伏せるみたいに窓の外を眺めます。
でも、心なしか脚と指先がそわそわしてて、本当は混ざりたいんだろうなって思わせる感じで。
「学生か」
「え…ハイ」
「どっからが仲間だい?」
「…5列前くらいから」
「…運が無ェな」
「はは、そっちも」
懐っこく話し易い感じで返してくる青年に、少し和んで。
「席、代わるか」
「や、いい、いいです」
遠慮した風な返しに、どちらかと言えば変わってくれた方が嬉しいんだが、と思いつつも食い下がるのもな…と諦めるマルコ。
それから暫く、ぽつぽつと言葉を交わし、
海外のレストランに研修に行く調理の専門学生の集団なんだと判明したり、離陸にはしゃぐ様子を眺めたり、ヘッドホンや機内設備の使用方法に戸惑ってるのを笑ったり。
それから、彼がトイレに立とうとしたので、それをキッカケにもう一度席の交換を持ち掛けるマルコ。
彼はもう一度断ろうとするんだけど、一回目はただの遠慮だったのが、次は渋るような、惜しむような感じで。
このままでいたいと強請られているようで気分が良くなって、
「隣なのは変わらないだろい、エース」
って笑います。
名前は、彼の周りに飛び交う仲間たちの声から聞き取っていました。
目を丸くして、俄かに動揺して、でもすぐに嬉しそうに笑って、席を立つエースを見送って。
窓側の席に詰めたマルコは無意識に時計に目をやって、残された10時間という時間を、もう長いとは思わないのでした。
ふあああ。
マルエーならなんて素晴らしいシチュエーションなのでしょう。
マルエーなら!!!
[しずまる]